★ブランド塾について★ 2019.12.9

★ブランド塾について★ 2019.12.9

「ブランド塾」に入って失敗する子の親の特徴

受験勉強の大事なポイントがわかっていない

和田 秀樹 : 精神科医 著者

 

子どもに中学、あるいは高校受験をさせようと考えたとき、まず親は何をしますか。私は、情報を求めにいくことがその第一歩だと思っています。インターネットに誰でも簡単にアクセスできるこの時代にあって、つくづく思うのは、世の中には怠慢な親が多いということです。

中学受験の入口として、塾に入ることから始めようと考えるのが一般的になっていますが、そのとき、多くの親はさほど情報収集をせずに知名度やブランドで塾を選んでしまうのです。

 

「塾のカリキュラムが正しい」と盲信する親

その代表例が中学受験でのサピックス、東大受験での鉄緑会です。サピックスは大手中学受験塾の中でも男女御三家中学をはじめとする難関中学合格をうたった塾です。鉄緑会は東京大学や京都大学をはじめとする難関大学や国公立大学医学部の合格をうたった塾です。サピックスにせよ、鉄緑会にせよ、勉強量をこなしてできる子を確実に受からせる「大は小を兼ねる」型の塾であることを、ご存じでしょうか。

自分から勉強する子の育て方 塾まかせが子どもをつぶす』の著者でもある筆者が提唱する受験勉強法で一番大事なポイントは、「志望校の入試問題を分析し、それに対してもっとも効率のよい勉強をすること」です。ところが、志望校の問題を分析もせず、「塾の信者」になってしまう親が非常に多いのです。塾のカリキュラムが正しいと信じ、言いなりになって、大量の宿題を課して子どもを苦しめているのです。

中学受験をさせようとしたら、塾の選択肢だけでもいろいろあります。塾のほかにも、個別指導、家庭教師、通信教育などがあります。にもかかわらず、知名度やブランドで塾を選んでしまうことは、ただ高いというだけでブランド品のバッグを持つことと変わりありません。

4人の子どもを東大理Ⅲに合格させた佐藤ママと対談したとき、彼女は「情報に左右されるのなら、もっとたくさんの情報を集めましょう」と話していました。

塾で苦しんでいるにもかかわらず、その塾の中で流通している情報だけに左右される人が多いのです。先にも書きましたが、彼女は私の著書を含め、多数の勉強法の本を熟読し、一人ひとりの子どもに合わせた勉強法を用意して、4人とも東大理Ⅲに合格させたのです。

ところが多くの親は「よその塾のほうがいいよ」「ほかの選択肢もあるよ」という情報を集めずに、「ブランド塾」の中でどうするかという情報を集めるのです。つまり、情報があるように見えて、情報が遮断されているのです。

塾に通っていると、そうした気づかない弊害があります。「ブランド塾」に通って安心している人は、塾内での成績を上げることは一生懸命考えるのですが、ほかの塾でどんな勉強をしているかは考えることがありません。

 

ブランド塾に行っても失敗はある

しかも、その塾でビリのほうだったとき、「せっかくこの塾に通っているのに、うちの子はバカだ」と親が言う。それがいかに子どもの自尊心を傷つけるでしょうか。どんな子でも、子どもの人生で、「自分は頭が悪い人間だ」と思わせることはあってはなりません。

「この塾にしがみついていれば、そこそこの学校に行ける」という親の噂レベルの情報を頼りに、「ブランド塾」以外の選択肢を考えない親がいます。下位クラスで子どもが苦しんでいるにもかかわらずです。

子どもは「自分は頭が悪い」と思いながら通い続け、「第1志望ではない学校」に行くことになるでしょう。子どもは「自分は何をやってもこんなもんだ」という劣等感が染みついており、また「勉強法の工夫」をするチャンスもないままに、「第1志望ではない大学」や「第1志望ではない会社」に入り、応用力のない人間になっていくかもしれないのです。

一方で、「第1志望ではない学校」に入っても、情報を集めたり勉強法を工夫したりして「言いなりの勉強」から脱し、難関大に合格する人もいます。主体的な学習スタイルが身に付いてくると、「やり方次第でこれからもなんでもできる」というアクティブな生き方になるのです。

まわりの子と一緒に勉強する環境があり、そこで競争する意識が生まれる――これが塾に通うことのメリットです。とくに勉強ができる子、競争の好きな子にとっては自尊心もくすぐられ、上位クラスでハイレベルの宿題を出してくれることは大きな刺激になります。

子どもには得意なことを褒め、自尊心を持たせるのが大事ですが、「人に勝つ」こともまた自信を高めることにつながります。やはり、今の競争社会では、負けん気をこの時期に身に付けたほうがいいでしょう。ただし負けん気は、「何かの分野で勝てばいい」という発想でいいのです。すべての合計点では負けても算数だけは勝っていたら、親はそこをすかさず褒める。子どもに「オレは算数ができるんだ」と思わせることが肝心です。

どんな形であれ、勝つ体験をすることが、本人の「自己肯定感」を高めることになるとすれば、競争のベクトルは多ければ多いほどいいのです。

 

「何か勝てるもの」を探してあげる

今の教育政策で間違っていると思うのは、競争をなるべく避けようとすることです。それは、運動会で体育ができる子だけが目立ってはいけないと手をつないでゴールインするようなもの。実際、そこまでする学校はほとんどないと思いますが、「1位をとってもあまり露骨に表彰しない」という学校はめずらしくありません。学芸会でも主役を決めない集団劇が主流ですし、主役になる子が6回も変わるような劇もあるそうです。

勉強の世界では、今はテストの成績を貼り出す学校は少なくなりましたが、それは勝つ経験ができなくなることであり、子どもにとってよいことではありません。先生が工夫をして、40人の子がいれば40人の子に「何か勝てるもの」を探してあげるのが学校のあるべき姿だと私は考えています。しかし現実には難しい。学校がそれをしてくれないなら、親が競争のベクトルを増やし、何かで勝てるようにすることが賢明です。

学歴を得る・得ない以前に、「できるようになる」という経験をしなければ、その子は前向きに生きていけなくなります。親はその正念場にいると自覚してほしいのです。前向きに生きていけないことで社会からドロップアウトするリスクを考えたら、子どもに劣等感を持たせてはならないのです。

小学校のときは勉強ができなくても、中学に入って飛躍的に伸びる子もいます。かつては中学受験というフィルターが、とくに地方ではなかったため、子どもの発達段階に自然に合わせて勉強していくことができました。今は中学受験フィルターのせいで、劣等感を持ってしまい勉強嫌いになる子もいるのです。

私の弟は、東大に数年に1人、京大に年に1人、阪大に10人くらい入るような高校で高2の終わりの段階で60番目くらいにいました。しかし灘の勉強法を私が教えたことで、東大に現役で入りました。

彼の何を見習ってほしいかというと、その「能天気さ」です。彼は優等生経験ゼロです。それでも、「やり方さえ変えれば受かるはずだ」と思えた能天気さをすべての子に持ってほしいのです。自分をダメだと思っている子が多すぎるのです。自信のない子に育てたら一生かわいそうです。

基礎学力を盤石にする意味で、中学受験の勉強は、実際役に立ちます。中学受験の結果がたとえ悪かったとしても、勉強したこと自体はまったくムダにはならないどころかプラスに働きます。勉強嫌いになりさえしなければ、仮に劣等生であったとしても、塾に通い勉強することは意味があると思います。

 

子どもに「しぶとさ」を身に付けさせるには

問題なのは、そこで親が成績を気にしすぎて子どもを勉強嫌いにさせたり、自分がダメな子だと思わせること。私が関わっている地方のある私立中学では、自己肯定感を損なわないことを徹底しているので、入試の時点で、400点満点で100点しかとっていない子も「自分がダメな子」とは思っていないですからね。6年間でしっかり勉強し、彼らは難関大学や医学部合格を果たすのです。

子どもを傷つけてはならないという視点でいろいろ書いてきましたが、同時に、子どもには受験勉強を通じて、ある種の「しぶとさ」を身に付けてほしいと願っています。テストの点数が悪かったとき、確かに傷つくかもしれませんが、そこで「自分は頭が悪いんだ」と考えるのでなく、「教え方が悪い」「やり方が悪い」と考えてほしいのです。

それは人のせいにしているということではありません。「頭が悪い」であれば変えられませんが、教え方であれ、やり方であれ、変えられるということ。「教え方が悪い」であれば、別の教え方をする人を探せばいいのです。

ありとあらゆるソリューションを探すとき、変えられるものから変えていかなければなりません。変えられないものを変えようとするから、そこでつまずきが生じて、メンタルに支障を来すのです。そもそも教え方が悪いのに、その中で子どもに「もっとやる気を出して頑張れ」と親が望めば、子どもはつらくなるばかりです。

以前、私はNHK教育テレビの「テストの花道」という番組に出ていたことがありますが、その番組では、テストでいい点をとるためのさまざまなテクニックが紹介されていました。

それをときどき見て、やり方を試してみる。すると、もしかしたら成績が上がるかもしれません。その番組をくだらないと思ってハナから見ない子と、「これをやったら私も成績が上がるかも」と思う子は、未来が全然ちがうのです。

大人の転職も同じです。「今より悪くなったらどうしよう」と考え、不満だらけの職場から転職できない人がいます。もし今より悪くなったら、もう一度転職すればいいのです。一度転職していると、また転職する気になったらできるはずです。0と1の差は大きいのですが、1と2、1と10の差はそれほど大きくないのです。

 

何かでつまずいたときに「逃げ道」を探す能力

ですから、子どもの可能性を0にしてはダメです。0と1の差は大きく、これからの時代は、0でいつづけるリスクのほうが高い。リスクをとっていないように見えて、実はリスクを子どもに押し付けていることに気づいたほうがいいでしょう。

人には、試し続けられる人と、ビビって動けない人の、2種類があります。秀才であれば秀才であるほど、ある時期までレールに乗ってしまうため、人生観を変える勇気をなかなか持てません。ただ、あらゆることは何かしらソリューションがあるもので、ビビッてばかりいたら、結果的には余計悪いほうへ行くものです。

受験をその手始めとして、子どもにしぶとさをもっていろいろ試すことの大切さを教えたほうがいいと私は思っています。何かでつまずいたときに「逃げ道」を探したり、ほかの方法論を探したりする能力こそ、受験勉強で身に付けてほしい能力です。

つまずいたときに諦めるのでなく、別の方法を探そうという経験を、受験勉強を通じてしてほしい。根性で乗り越えるやり方は、いつかはダメになる可能性があります。運よくダメにならなくても50歳くらいになり、根性で出世してきた人がそこでつまずく、つまり体力が落ちてつまずくこともあるのです。

子どもは、よほど賢い子、世知に長けた子でないかぎり、つまずいているときにほかの道を探そうとは思いません。そこで一緒に考えてあげるのが親であり、大人の知恵なのです。

北九州市八幡西区折尾個別指導「オアシス学習塾」

 

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