★部活とは違う選択肢★ 2017.1.18

★部活とは違う選択肢★ 2017.1.18

中高生には「部活」とは違う選択肢が必要だ

ドイツ型「市民クラブ」は日本で成立するか

juniorsoccer

日本の多くの中高生が、青春時代を費やす部活動。みなさんの多くも、学生時代は部活動(部活)にいそしんでいたことだろう。2013年の「運動部活動の在り方に関する調査研究協力者会議」の発表によると、中学校では約65%、高校では約42%の生徒が部活に参加している。

 

新中学校学習指導要領、新高等学校学習指導要領では、部活は「スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環」と位置づけられている。

 

どうやら部活は、教育上、大きな役割を果たしていると認識されているようだ。

「村ルール」がまかり通ってしまう空間

最近では、部活の問題点が取りざたされることも増えている。ところが、「部活をどうすべきか」ばかり議論され、「気軽に参加できる部活以外の課外活動の場」については、あまり触れられていない。

 

基本的に部活は学校単位の活動であり、生徒が決められるのは、「部活に所属するか否か」「どの部活に参加するか」くらいのもので、活動頻度や、どの指導者の下で学ぶかなどは、基本的には決められない。加入を義務としている学校では、「参加の自由」すらない。

 

さらに部活内では、先輩を頂点とした閉鎖的なコミュニティが出来上がる。その結果、雑用は後輩の仕事となり、正当な理由がない欠席はいっさい認められず、髪型を強制されるなど、「村ルール」がまかり通ってしまう。そこで生まれた妙な連帯感が、いじめや体罰などの一因になる。

 

また、部活の時間的な拘束も大きな問題だ。2016年度のスポーツ庁の調査では、中学校の部活動において、1週間当たりの休養日を「設けていない」学校が22.4%、「週1日」が54.2%となっており、半数以上の中学校の運動部が、週6日以上活動していることになる。疲労により授業に集中できなかったり、成長期の生徒が無理のある練習を続けた結果、ケガをする、ということも起こりうる。

 

余暇の時間が少ないということは、家族との時間も減るということだし、家庭での学習時間を削ることにもなる。部活は多くの面で、生徒たちを学校に縛りつけているのだ。

 

多くの日本人にとって部活は当たり前だが、世界的に見れば珍しい制度である。ほかの国の中高生世代は、どのようにスポーツや文化活動を行っているのか。一例として、ドイツの部活事情を紹介する。

 

ドイツには、スポーツクラブを運営している学校もあるが、Vereinという地域の市民クラブに入るのが主流だ。日本で言うと、スポーツクラブやカルチャースクールに近く、多くのクラブは、定款を設け役員を据え、非営利団体として正式に登録している。statistaの統計では、11~16歳までの生徒の約77%が、クラブ、もしくはそれに準じるグループに所属している。日本の部活の参加率より高い。

世代を超えて交流するドイツのクラブ

2013年7月13日のフランクター・アルゲマイネ紙によると、ヘッセン州には、住民1000人に対し78ものクラブがある。中学校1年から3年まで、各学年300人ずついたとしたら、70以上の部活の選択肢があるようなものだ。そこから、自分に合ったクラブを探すことができる。年齢で分かれているクラブもあれば、子どもから大人まで一緒に活動するクラブもあるし、スポーツや音楽はもちろん、陶芸やワイン造り、ヨガなど、多彩なジャンルがある。

 

クラブは基本的に掛け持ちもできるし、いつでも参加・退会できることが多い。忙しければ、休むか、活動日が少ないクラブに移ればいい。試合で勝ちたいのならば強いクラブに参加すればいいし、趣味程度なら、ゆるい活動をしているクラブに参加すればいいのだ。最初は初心者向けのクラブに入り、その後、中級、上級クラブに移動することも可能だ。費用はクラブによるが、バドミントンクラブは、月10ユーロ(約1230円)だった。

 

卓球クラブの練習などは、部活とはまったく違った雰囲気だ。中高生世代も大人と一緒に練習していて、年上が年下を指導する、年下は準備と片づけをしなくてはいけない、ということはなく、家族や恋人を連れてきている人もいる。パートナーは年下のメンバーの進路相談にのり、パートナーもまた、仕事について年上のメンバーに助言を求める。世代や立場を超えた交流は、社会性を身に付けるのに役立つし、将来の視野を広げることにもなるだろう。年齢を問わずに参加できる開かれたコミュニティは、地域の活性化にもつながっている。

 

日本の部活では、先輩との上下関係は学べても、年齢や立場を超えた幅広い交流は難しい。放課後、気軽に参加できるというメリットもあるが、それは「家か学校にしか居場所がない」という状況にもつながりかねない。

 

2013年の神奈川県の『中学校・高等学校生徒のスポーツ活動に関する調査報告書』では、「部員以外の地域の人々と一緒に運動部活動に参加すること」を、62.9%の中学生が肯定的にとらえている。「他の学校の生徒と合同の運動部を作り、練習や大会参加など一緒に活動すること」は、62.7%の生徒が肯定的だ。また、「1年間のある時期に休みの期間を設けること」に関しては84.9%が肯定的となっている。今求められているのは、横のつながりと適度な活動頻度だということがわかる。「開かれたコミュニティでゆるく活動したい」という生徒にとっては、部活よりもドイツ流のクラブ活動が合っている。

 

歴史的な違いも、確かにある

ドイツで市民クラブが盛んなのは、積極的な市民による自治の歴史や、それによる市民活動の社会的認知、さらには学校が昼に終わることが多いこと、充実した助成金などの理由が挙げられる。日本がすぐに同じような制度を整えるのは難しいが、「地域の社会的活動」のモデルとして、参考になるのではないだろうか。

 

たとえば、水曜日は体育館を使う部活を休みにして、地域に開放するのはどうだろう。「年齢を問わない趣味のバスケットクラブ」でもいいし、「経験を問わないバレーボールクラブ」でもいい。少しの参加費を徴収し、自治体が助成金を出せば、指導者に多少の謝礼も払えるだろう。スポーツ科学を学んでいる大学生や、スポーツトレーナーの卵などに声をかけることも可能だ。部活に参加している生徒や顧問は休めばいいし、部活とは違う場でスポーツをしたい生徒や社会人などは、そういった日に参加すればいい。クラブは、中高生にとってだけではなく、社会人にとっても、交流、生涯学習、生涯スポーツの場として重宝されるだろう。

 

最近は教師の長時間労働や中高生の部活疲れなどが取り上げられ、部活のあり方が問われている。だが、「部活をどうよくするか」だけでなく、「部活以外の場」に目を向けることも必要だ。そのとき、ドイツのような市民クラブがあれば、「もうひとつの選択肢」になるのではないだろうか。

 

北九州市八幡西区折尾個別指導「オアシス学習塾」

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